悪 狐
矛盾
「それで俺は満足だ。」
そうね、私だってそれでも良い。あなたが私に触れてくれるなら。
だけど、私の恋心を知られてはいけない。知れば、きっと復讐に利用してくれないだろうから。
「止めて、先生……」
あなたは壊れた関係が拗れて素直になれないだけ。
不器用な人。
イタズラを何度も繰り返して、後に気付く時が必ず来る。
自分の行為が何を意味するのか思い知り、抗えない感情に傷つくの。
そんなあなたの不器用さが愛しいのに、私に出来るのは……
突然、ドアの開く音。
固まった私たちを見つめるのは、保健室に入って来たおじ様。
何故、ここに?
最近は体調が良かったから、迎えにも来ていなかったのに。
まさか。
保月先生は青ざめ、手が緩んだ。
「……柚瑠……くん?」
あ、不味い。
私は咄嗟に先生から離れた。
おじ様は足早に近づき、立ち尽くす保月先生に抱き着いた。
「うわぁあ~~ん、僕だよ。覚えてる?君のお父さんだよ!」
茫然としていた保月先生は、私に眼を向けて状況が呑み込めない様子。
助けを求めているのかな?
おじ様は、泣きながら説明を続けた。