悪 狐

先生は最初の優しさが徐々に雑になり、慣れによる仲の良さに近いのだけど、腑に落ちないような距離感。
何が原因なのかは分からない。
だから尋ねようにも、質問が見つからずに戸惑う。

踏み込んではいけない一線を常に感じながら、それでも少しの優しさを求めてしまう。

きっと体調が悪いから。
不安な気持ちが和らいだような安らぎが、薬の作用のように常用性を与えただけ。

それだけで、それ以上の物なんかない。
兄のような存在……

知らず知らずの内に募った感情。
淡くて脆くも、それが完全に消え去ることはない。

何て煩わしいものなのだろう。
あまりにも曖昧すぎて、それを恋と呼べるのかも惑う。

憧れ?少し違うような気がする。
きっと、自分で処理しきれないのは先生の態度が読めないから。

分からない。
私に対する態度や言葉は、周りとは大きく異なる。
それが、どうしてなのかも理解できず問うことを恐れて。

多分、先生の距離は自分に対する好意ではないと感じているんだ。

病気がちな女生徒と、若い男性の養護教諭。
他の生徒より多くの時間を共有するなら、周りからの目もあるだろうし、それは仕方のないこと。

でも……
この不安にも近い感情を引き起こし、恐れを抱くのは。


< 2 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop