悪 狐
穏やかな笑み。
「弱ったお前は、俺だけに頼ればいい。」
頼る?
そうしてきたよね、今まで。
「くそっ……担任の方が身近だとしても、病人なら保健室の俺の方が面倒見れるって事だ。」
担任って、大内先生の事?
嘘だ。
「……嫉妬、してくれたの?」
「してない。」
思わず笑みが漏れてしまう。
「大内先生は、きっと他に好きな人がいる。」
「知らねえよ、あいつの事なんか。それより、お前はどうなんだよ。俺の事、好きだろ?」
好きよ。
そんなの知っているくせに。
何故、私が憎しみを受けてもここに来たのか。
そう、恨みを抱きながらも私に辛く当たるのを躊躇しているあなたに、私は……
「好きじゃない。好きじゃない、好きじゃない!」
「ちっ。」
もう少しだけ。
「あぁ、そうだ。素直になったら、先輩との事を話してもいいぞ?」
どうして、いつも上からなのかな。
そうね、知りたい。素直になりたい。
「保月先生、好き。憎しみでも良かった。あなたが私に触れてくれるなら。ふふ……今まで私にしたことを後悔すればいいわ。」
「一生、償ってやるよ。」
悪戯な狐は私に優しくなりました。
END


