小夜啼鳥

抱きしめられ、上から注がれていた視線が鋭くなっていくから。

「あの、ここ、学校だから。」

「そ?なら、家ならいいよね。言質は取ったから、覚悟して。」

家?それこそ、私の両親がいるんだから行動は慎むべきでしょ?
藤九郎の言っていることが理解できず、約束を守ると言った覚えもないのに。

何かが私を待ち受けている。
嫌な予感。


「それ、覚悟しといた方が良いんじゃないの?」

お昼休み。
越水くんに対する返事を一栄に告げて、藤九郎の事を相談した結果。
やっぱり?みたいな答えが返ってくる。

越水くんは落ち込んでいたけど、優しい一栄が傍に居るのだから任せておこう。

それよりも。覚悟って何?
普通は恋人になったら、初々しい何かが漂うモノじゃないの?
いきなり覚悟を決めなきゃいけないような事って。

「私、何を間違えたのかな?」

不安に襲われ、恋心も見失いそうだ。
藤九郎の事、本当に好きなのかな。
ただ単に、幼なじみが年頃の良い男に成長していて舞い上がった小説や漫画のように暢気にかまえていたのかもしれない。

「間違えたというより、最初から罠だったんじゃないの?」

思わず納得して、一栄に目を向ける。

「ちょっと、冗談よ!あなた、そんなに彼の事を信用してないの?」

信用していないと言うより、幼い頃の俺様具合が凶悪に成長した結果だと思うから。


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