小夜啼鳥
年に何度か母の実家である大きな屋敷に、連れられて行ったことがある。
幼馴染の藤九郎と何度も遊んだ。
それは幼い頃の話。
おじさんは、その屋敷の執事。
敷地内には別宅があって、執事とは言え大きな家に住んでいた。
屋敷は取り壊されてしまったけれど、そこは今も昔と変わらず存在する。
それなのに。
大人の考えが怖い。
新聞やニュースで落ちぶれた母の実家についての報道が流れた。
結婚して家を出た母には、何の影響もなかったけれど。
一般家庭には十分の相続金。
それと共にやってきたのが、おじさんだった。
由緒ある執事の家系。
歴史を途絶えさせるわけにはいかないと。
賃金もなしで、我が家の家事などを母の代わりにしてくれると言う。
お嬢様育ちの母にとって、小さな家の管理も出来ていなかったから少し楽なんだけど。
何かが違う。
洗濯は私がすると、譲らなかった。
何故なら、執事として藤九郎が同居すると言うからだ。
父は家を建てるとき、子供は2人以上を計算して部屋を作ってしまった。
だから小さな我が家なりにも、藤九郎を置ける部屋があるのだ。