小夜啼鳥
馬鹿な話に、自分と同い年の彼が承諾するとは思わない。
懐かしい幼馴染は立派な男に成長して目の前に登場。
漫画や小説なんかでは、夢のような設定。
冗談じゃない、何て窮屈な生活を強いられるのか。
「執事なんて認めない!」
反対する私を無視して、トントンと物事は進み。
自分の部屋の隣と、学校の同じクラスに藤九郎。
金持ちの家の執事として由緒ある家系。
それなりの賃金を得てきたから、藤九郎は私立の学校で優雅に生きてきたはずだ。
大人の勝手な考えに、私を巻き込まないで欲しい。
そんな精神的な限界に、藤九郎はトドメを刺すような事を言ってきた。
「俺は、ずっと七帆(ななほ)の事が好きだった。どんな方法でもかまわない。お前に近づけるなら。」
好き?ずっと?
何を言っているのか理解が追い付かない。
だけど。黙ったままでいることも出来ず。
「ごめんなさい。私の中では、あなたは幼い幼馴染の思い出で止まったまま。今のあなたを受け入れる事なんて、考えられない。まして。」
こんな異常な状況に追い込まれているのだから。
嫌いじゃない。
かといって、男女の仲で言う好きの部類でもない。