三度目の結婚 〜最初から相手は決まっていたようです〜
11
「コーディアナ」
聞こえるはずのない男の声がする。
後宮どころか、ハッ・ティバの宮殿自体から抜け出した先の商家の一室で、コーディアナは相変わらず床に寝そべっている。
もはや起き上がる気力がないのである。
今度はエリンがコーディアナを呼んだ。
「コーディアナ様」
「なによ」
「ご所望の品です」
「氷菓子じゃないじゃない」
「ご所望の、『いい男』でございます」
コーディアナは寝台に背を向けた。
正しくは、寝台に腰かける青年に背中を向けた。
「コーディアナ様ご所望の、『初めてを捧げてもいいくらいの男』でございます」
「どっこがぁぁぁあ? もう黙ってエリン!」
「……いい男だろう、俺は」
コーディアナは首だけ巡らせて寝台を見た。
そこに座る男――ランダールのシヴァルファスをひと睨みしてから、頭を左右に振る。
「チェンジでお願いします」
「異議あり」
「チェンジで。変更でお願いします」
「あ、初回はチェンジ不可なんです」
「乗ってくるんじゃないわよ!」
聞こえるはずのない男の声がする。
後宮どころか、ハッ・ティバの宮殿自体から抜け出した先の商家の一室で、コーディアナは相変わらず床に寝そべっている。
もはや起き上がる気力がないのである。
今度はエリンがコーディアナを呼んだ。
「コーディアナ様」
「なによ」
「ご所望の品です」
「氷菓子じゃないじゃない」
「ご所望の、『いい男』でございます」
コーディアナは寝台に背を向けた。
正しくは、寝台に腰かける青年に背中を向けた。
「コーディアナ様ご所望の、『初めてを捧げてもいいくらいの男』でございます」
「どっこがぁぁぁあ? もう黙ってエリン!」
「……いい男だろう、俺は」
コーディアナは首だけ巡らせて寝台を見た。
そこに座る男――ランダールのシヴァルファスをひと睨みしてから、頭を左右に振る。
「チェンジでお願いします」
「異議あり」
「チェンジで。変更でお願いします」
「あ、初回はチェンジ不可なんです」
「乗ってくるんじゃないわよ!」