三度目の結婚 〜最初から相手は決まっていたようです〜

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 そうして後宮の抱き枕になって早数年。

 対外的には寵姫という扱いになったコーディアナの耳に、信じられない噂が入ってきた。

 コーディアナも帯同した先の戦で功績を立てた、
 


「六十がらみの戦将軍への褒美として下げ渡される」



 というのである。

 とんだ裏切りである。

 もっとも、最初から皇帝はコーディアナになんの約束もしていないのだから、仕方のない話かもしれない。

 ただ、ここにきて再びシヴァルファスの発言がよみがえった。

 コーディアナは、二十歳を超えていまだ手つかずである。

 この先、望まぬ降嫁があるのなら、最初くらいは自分の選んだ男と床入りしたい。

 なにしろ二度の結婚をしているのである、いまさらコーディアナが処女であるなど、誰も露ほどにも思ってはいないだろう。

 後宮に男を連れ込むのがご法度であるなら、自分が後宮から出て男と会えばいい。
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