三度目の結婚 〜最初から相手は決まっていたようです〜

8

 そうして意気揚々と乗り込んだハッ・ティバ帝国、その後宮。

 王族扱いなので宮のひとつをもらったが、現在のだらけまくったコーディアナが示す通り、寵愛などは受けていない。

 いや、お渡りはあるのだ。

 皇帝ダレン・ハッ・ティバは、むしろ頻繁にコーディアナの金剛宮を訪れるが、はっきりいって抱き枕扱いである。足しげく通っては、ここでなら安眠できるといってはばからない。

 胸がないからいいのだという。気にしていることを。 



「おれは胸が豊かな女が好みだ。胸の肉に顔をうずめて窒息したい」



婚礼の儀などないハーレムの初夜、初対面で眉を下げた皇帝に、そう頭を下げられた。

 ――いや、知らんし。

 そう喉元まで出かかった言葉を飲み下すのに苦労した。

 脳裏によみがえるシヴァルファスの勝ち誇った顔には、もう一発入れておいた。
< 8 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop