奪う
5
「ミコトさんは、どんな風に人を殺してるんですか?」

 深夜のとある道の駅。彼の車の助手席で、先程自販機で購入した缶コーヒーを開けながら、カナデが脈略なく唐突に尋ねてきた。

 彼はカナデを一瞥し、同じく缶コーヒー、ではなく、ペットポトルタイプのカフェオレを開ける。瞬間、その見た目でカフェオレとはギャップを感じて惚れ直しそうです、と心底胡散臭い表情のカナデに感想を述べられた数分前の出来事が脳裏を過った。どの見た目ならギャップを感じないというのか疑問である。

 適当なことを宣うカナデを雑に遇うか否か一瞬だけ迷ったが、詐欺師相手に駆け引きのような真似をしても勝率は低いと判断し、彼は素直に応じた。

「相手に殺され方の希望があればできるだけそれに沿いますが、なければその時の気分でどう殺すか決めています」

 彼は淡々と言い、カフェオレに口をつける。ホットではなくアイスでいい季節になっていた。

「わざわざ希望聞いてあげるんですか?」

「死にたがっている人間限定ですが」

 そう付加すると、まだ一人だけではあったが、確かに自分は自殺志願者ではない人間も殺したのだということを改めて実感した。

 その人間には何も聞くことなく、好き放題に殺していた。希望を尋ねるという選択肢すらなかった。言うまでもなく、死にたがりではないからだ。死にたがりではない人間にどう殺されたいか問うたところで答えなど出るわけがない。無駄である。

「希望ってどんな希望があるんですか?」

 カナデは缶コーヒーには口をつけず、また質問を繰り出してきた。やけに質問が多いような気がしないでもない。

 カナデに誘われドライブをし始めてからずっと、そんなことを聞いてどうするのかというような取るに足らないことを尋ねられていた。何か企んでいるのか、何か吐かせようとしているのか、猜疑心を抱いてしまいそうになりながらも、彼は冷静に、下手に嘘は吐かずに答えた。
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