奪う
腸はとても長い。これほど長いものが狭い腹に収まっているのかと、人体について一つ学んだ記憶が漠然と頭に残っていた。ユウコの腸を見る限り、確かに長そうである。全てを引っ張り出して検証してみても良かったが、何度も包丁を突き刺したことでそれなりに満足していたこともあり、面白そうな案が脳裏にちらついてもすぐに消し去った。
彼は引き出した内臓をしまおうと腹の中に無理やり押し込んだ。そうして戻そうとしたが、不思議と入りきらない。体積は変わっていないはずなのに、押し込んでも押し込んでも隙間から溢れてしまう。
暫し悪戦苦闘していたが、粘っても仕方がないと早々に諦めた彼は、片せなかった臓物を軽く丸めてそのままにした。腹の辺りがこんもりと盛り上がっている。彼はなんとはなしに包丁を突き立てた。仕上げの一撃だった。彼は徐に腰を上げた。
「少し腹が減りました。プリン食べませんか」
「ちょうど今、それを言おうとしてたんですよ。やっぱりミコトさんとは気が合いますね。そろそろ付き合いませんか?」
「付き合いませんよ」
相変わらずのカナデの台詞を受け流し、トイレを出た先にある洗面所に立った。水を出し、血液を吸った手袋を外して手を洗う。目の前の鏡を見ると、顔にも返り血が飛んでいることに気づいた。よく洗い落としてから、指紋をつけないように水を止めた。
改めて手袋を身につけようとしたが、あまりにも汚れすぎている。その手でプリンを食べるのも気が引けた。できるだけ物に触らないように注意しつつ、触らなければ食べられないプリンの容器は持ち帰ってどこかに捨ててしまえばいいか、と暫し思考を巡らせた彼は、汚れた手袋をポケットに押し込んだ。内臓と違って溢れることはなかった。
彼は引き出した内臓をしまおうと腹の中に無理やり押し込んだ。そうして戻そうとしたが、不思議と入りきらない。体積は変わっていないはずなのに、押し込んでも押し込んでも隙間から溢れてしまう。
暫し悪戦苦闘していたが、粘っても仕方がないと早々に諦めた彼は、片せなかった臓物を軽く丸めてそのままにした。腹の辺りがこんもりと盛り上がっている。彼はなんとはなしに包丁を突き立てた。仕上げの一撃だった。彼は徐に腰を上げた。
「少し腹が減りました。プリン食べませんか」
「ちょうど今、それを言おうとしてたんですよ。やっぱりミコトさんとは気が合いますね。そろそろ付き合いませんか?」
「付き合いませんよ」
相変わらずのカナデの台詞を受け流し、トイレを出た先にある洗面所に立った。水を出し、血液を吸った手袋を外して手を洗う。目の前の鏡を見ると、顔にも返り血が飛んでいることに気づいた。よく洗い落としてから、指紋をつけないように水を止めた。
改めて手袋を身につけようとしたが、あまりにも汚れすぎている。その手でプリンを食べるのも気が引けた。できるだけ物に触らないように注意しつつ、触らなければ食べられないプリンの容器は持ち帰ってどこかに捨ててしまえばいいか、と暫し思考を巡らせた彼は、汚れた手袋をポケットに押し込んだ。内臓と違って溢れることはなかった。