地の果てに咲く花2
プロローグ
ヒュ〜……ドーンッ!
それは、少女の中で今も鳴り止まない花火の音。
幼い頃、たった一度だけ“家族”で行った場所。
「お兄ちゃん綺麗だねえ!」
そう言って顔を上げた少女は、兄をキラキラとした瞳で見つめる。
「……そうだね」
少年は少女を憐れむように見たあと、すぐに笑いかけ、妹の頭を撫でた。
そんな兄に妹は頬擦りをして甘える。
「──桜駒のことは俺が守るから」
「んー?なんか言ったー?」
「……ううん。何も」
愛を知らない双子は、17年の時を経て愛を知るようになる。
この頃の双子にはお互いを大事にするしか、愛を知る方法が分からなかった──。
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