君の未来に、ぼくがいたこと。
【第10章:3回目の時間跳躍~未来を託した日】

最後の選択

病室の薄明かりの中、陽翔は静かに目を閉じていた。
時計の針は、彼の命の終わりを告げる時を刻んでいる。

「もう、自分は生きられないんだ……」

小さな声で呟く陽翔。だが、その瞳には決して消えない光が宿っていた。



数日前、最後の時間――陽翔は3度目の過去に戻った。
そのときの記憶が胸をよぎる。

「凛空、これが僕の最後のお願いだ。」
陽翔はUSBを手渡す。

「この脚本と映像を、必ず完成させてほしい。」

凛空は深く頷いた。
「任せてくれ。絶対にやり遂げる。」



結月には、手紙を残した。
そこには、陽翔の夢と想いが綴られていた。

『結月へ
いつもありがとう。僕はもう長くないけれど、君たちの夢はここから始まる。どうか、僕の分まで幸せになって。夢を叶えてほしい。ずっと、ずっと応援してる。』

結月は震える手でその手紙を読み、涙が溢れた。

「陽翔……絶対に叶えるよ、あなたの夢。」



陽翔は静かに息を引き取り、仲間たちの胸に深い悲しみと強い希望を残した。
< 34 / 45 >

この作品をシェア

pagetop