恋とバグは仕様です。 ~営業スマイルで喧嘩して、恋に落ちるまで~
03|心のGit、コンフリクト中
数日後。
ついに二人の“コード喧嘩”が表面化した。
「白河さん、今回のリリース、俺抜きでやってください」
「──は?」
「俺、来月から別プロジェクト異動になった」
「ちょっと待って。なんで今、それ言うの?」
「前から決まってた。お前に言うと面倒になりそうで黙ってた」
「は?」
「……面倒な感情持ち込まれるの、仕事の邪魔だろ」
「──そう思ってたの? ずっと?」
静かに、でも確かに凛の声が震えた。
「……私、あんたのこと、好きになりかけてたよ」
その言葉に、遥人の目が揺れる。
「でも、バカみたいだよね。“仮想”を“現実”にしようなんてさ」
「凛──」
「もういい。仕事は私がやる。あんたは新しい環境で頑張れば?」
笑ってみせる凛の顔には、いつもの営業スマイルが戻っていた。
けれどその奥には──張り裂けそうなほどの本音が、隠されていた。