彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました

6.雨宮先生、家に来る

 翌週土曜日の午前中、雨宮先生は本当に家にやってきた。
 もちろん事前に約束はしてあったけど、インターホンが鳴ってモニターでその姿を見た時、私は別の人が来たのかと、一瞬驚いてしまった。

 ごく自然に下ろした髪、Tシャツに薄手のグレーのニット、デニム、リュック、という姿。職場で見るかちっとした姿とは全然違う。

「何?」

 ドアを開け、思わず雨宮先生を見つめてしまった私に、先生はきいた。

「ええと、あの――随分印象が違うなって――若々しいですね」

 私が言うと、先生はちょっとむっとした顔をした。

「若い、だろ。まだ三十三だ。あ、でも野崎さんはもっと若いか」
「二十七です」
「――しっかりしてるからもうちょっと上かと思ってた。ま、年齢は関係ないか」

 しっかり?
 雨宮先生はおかしなことを言う。私は全然、しっかりなんかしていないのに。
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