彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました
「おにぎり一個だけでここまでするとでも? 野崎さんのおかげで仕事、本当に助かってるんだよ」
「でも私、先生の秘書じゃないし、何もしていませんよ?」
「いや、してる。ほら、ついこの前まで野崎さんの先生が担当していたあの件」

 花菱商事の件だ。名前を出さなかったのは、部外者の母がいるからだろう。

「ファイリングを丁寧にしてくれていたから、すごく助かってる」

 はっとした。

 ファイリングなんて、きちんとするのは当たり前なのに。
 雨宮先生はそういうところをこんなに評価してくれるんだ。
 決して表情豊かで愛想がいいわけではなく、どちらかというと近寄りがたい雰囲気の雨宮先生が、秘書の仕事をこんなふうに見ていてくれるなんて。

 もしかしたら雨宮先生は、見かけよりずっと、優しい人なのかもしれない。

 










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