彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました
 それから私たちは、三人で食卓を囲んだ。

 厚さ三センチほどの玉子焼きと、縦半分に割ったキュウリとハムを挟んだサンドイッチ。「すごい。食べ応えがあっておいしいです」
 雨宮先生は、とても美味しそうに食べた。
 けっこう量が多かったと思うけど、ぺろりだ。細身だけど、よく食べるんだな。

 食べ終わると母は片付けのためにキッチンに立ち、私は丁寧に豆を挽いて、コーヒーを淹れた。

 雨宮先生はコーヒーを飲みながら、ダイニングテーブルで家関係の書類――設計図、土地の図面、権利書その他――を手早くチェックしていった。

 そして帰り際。

「今日は大変ありがとうございました」

 門扉の外まで見送りに出て頭を下げた私と母に、「気にしないでください。いつも莉々さんにお世話になっているお礼なので」と雨宮先生は言った。

「でも先生、私がしたことと言えば、おにぎりを一個差し上げただけで……やっぱりちゃんと、お支払いさせてください」

 うちの事務所の弁護士は時間単位で報酬を請求する。今日雨宮先生が私たちのために働いてくれた時間は、五時間。とてもおにぎり一個で賄える金額ではない。
 けれど雨宮先生は、笑った。
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