彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました
 数分後。 

「いいな、とてもよくできてる」

 視線を上げた先生は、微笑んだ。

「……本当にですか……?」
「ああ。特に、入居者の友人の立ち入り不可、とか、細かいところまで詰めてあるのがすごくいい。それに、ここ。『入居者は月一回、夕食を共にし、シェアハウスに関することなど語り合う』――いいじゃないか、楽しそうで。どうだった? 自分で契約書を作ってみた感想は?」
「難しかったけど、充実していました。大家としての自覚が出てきたっていうか……」
「それは良かった。作業、お疲れさま。あとは俺が体裁を整える。帰宅してからでいいから、ファイル、送って。じゃ、お疲れさま」
「――ありがとうございます。あの、先生、やっぱりお礼」
「いいって」
「そんなわけには」
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