あなたの子ですが、内緒で育てます
 遠慮のない言葉の数々に、デルフィーナの権力が弱まっているのを感じた。
 私は昔と同じように微笑んで挨拶をする。

「お久しぶりですね。皆様、お元気でいらしたようで嬉しく思いますわ」

 懐かしい顔ぶれが揃っていた。
 私とルチアノが参加すると聞いて、お妃候補時代に、私と仲の良かった令嬢たちが集まってくれたようだ。

「セレーネ様がお帰りになられるのを待っていましたわ」
「七年前からお変わりなく、美しくて羨ましいですわ。わたくしなど、子供を産んでから、体型が変わってしまって」

 彼女達は、すでに令嬢ではなく、嫁いで夫人になっていた。

「ちょっと! あなたたち! まずは、王妃であるわたくしに挨拶するべきじゃなくて?」

 不機嫌そうな顔をしたデルフィーナが、ロゼッテを連れて近寄ってきた。
 ロゼッテは、ビクビクして怯えている。

「ロゼッテ王女? どうかなさったの?」
「ロゼッテに近寄らないでちょうだい! セレーネがこの子を殺したいと思っているから、怯えているのでしょ!」
「そんなこと考えていないわ」
「ロゼッテは心を読めるのよ。ねえ? ロゼッテ、セレーネがあなたを殺そうとしているのよね」

『王女を殺そうとしている』

 根拠のない言葉なのに、その言葉は噂話のひとつとして、広がっていく。
 デルフィーナの狙いはこれだったのだとわかった。
 私を全員の前で、王女を殺そうとしている恐ろしい女だと、印象付けるためにパーティーを開いたのだ。
 七年前と同じ、私の評判を落とそうとしていた。
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