あなたの子ですが、内緒で育てます
「それに、作ったキャンディに毒が入っているかもしれないわ」
「毒ですって? 町の子供たちにあげるのに、なぜ、そんなことをしなければならないの?」
「どうかしら。わたくしへの嫌がらせをするような恐ろしい女ですもの。ねえ? ロゼッテ?」

 ロゼッテはおどおどした様子で、声を張り上げた。

「セレーネ様の侍女が、お母様のネックレスを盗んだの!」

 キャンディを包むリボンを用意していた侍女たちの手が止まる。

「私の侍女たちに、盗みを働くような者はいません」
「嘘おっしゃい。ロゼッテ。どこに隠してあるかわかるかよね?」
「侍女の部屋の鞄のなか……」

 侍女たちが不安そうな表情を浮かべた。

「セレーネ。あなたの侍女たちの鞄を今すぐ持ってきて!」
「まさか、そんなこと……」
「ロゼッテは心が読めるのよ?」

 セレーネは半信半疑だったけれど、侍女たちに鞄を持ってこさせた。
 鞄を開けていくと、その中のひとつから、侍女のお給金では、とうてい買えそうにないネックレスが出てきた。

「これをどう言い訳するおつもりかしら?」
「彼女たちは盗んだりしません」
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