あなたの子ですが、内緒で育てます
ザカリア様の言葉に、ルチアノは顔を上げ、意を決したように不安を口にした。
「お母様、ザカリア様。ロゼッテが毎日、泣いてるんだ」
「どういうこと? ロゼッテは、ルドヴィク様と離宮に行ったのではなかったの?」
「違う。ロゼッテをさらって、また王宮へ戻したんだ。離宮は大騒ぎになってる」
「なんですって? いつの間にそんな……」
娘であるロゼッテの姿が消えたと言うのに、ルドヴィク様からは、なにも連絡がなかった――そう思った時。
部屋の扉をノックする音が響いた。
誰が来たのか、確認しなくてもわかる。
「どうぞ、入って。デルフィーナ」
デルフィーナが自分の侍女を引き連れて、部屋へやってきた。
そばには泣き腫らした目をしたロゼッテがいた。
「セレーネ。久しぶりね」
「デルフィーナ。ロゼッテを離宮に戻しなさい。探しているわ」
「ロゼッテはわたくしの子よ。自分の子と暮らしてなにが悪いのかしら。ロゼッテもわたくしと暮らしたいと思ってるの。 ねぇ? ロゼッテ?」
「はい……お母様……」
ルチアノ以上に、ロゼッテは元気がないように見えた。
さっきまで、不安そうにしていたルチアノは、いつの間にか私から離れ、デルフィーナのほうへ顔を向けていた。
「セレーネ。今から、お茶でもいかが? ロゼッテといつも遊んでくれていたお礼に、ルチアノも一緒にね」
「お母様、ザカリア様。ロゼッテが毎日、泣いてるんだ」
「どういうこと? ロゼッテは、ルドヴィク様と離宮に行ったのではなかったの?」
「違う。ロゼッテをさらって、また王宮へ戻したんだ。離宮は大騒ぎになってる」
「なんですって? いつの間にそんな……」
娘であるロゼッテの姿が消えたと言うのに、ルドヴィク様からは、なにも連絡がなかった――そう思った時。
部屋の扉をノックする音が響いた。
誰が来たのか、確認しなくてもわかる。
「どうぞ、入って。デルフィーナ」
デルフィーナが自分の侍女を引き連れて、部屋へやってきた。
そばには泣き腫らした目をしたロゼッテがいた。
「セレーネ。久しぶりね」
「デルフィーナ。ロゼッテを離宮に戻しなさい。探しているわ」
「ロゼッテはわたくしの子よ。自分の子と暮らしてなにが悪いのかしら。ロゼッテもわたくしと暮らしたいと思ってるの。 ねぇ? ロゼッテ?」
「はい……お母様……」
ルチアノ以上に、ロゼッテは元気がないように見えた。
さっきまで、不安そうにしていたルチアノは、いつの間にか私から離れ、デルフィーナのほうへ顔を向けていた。
「セレーネ。今から、お茶でもいかが? ロゼッテといつも遊んでくれていたお礼に、ルチアノも一緒にね」