あなたの子ですが、内緒で育てます
 デルフィーナは床に伏せ、泣き崩れた。

「いいえ。ロゼッテは王女として、王宮で育てます」
「嘘おっしゃい! わたくしがセレーネを虐げたようにロゼッテにも同じことを……!」

 私がしないと言っても信じてもらえそうにない。
 ザカリア様でも、それは同じ。
 どうすれば、わかってもらえるのだろうと、思っていた私たちの前に現れたのは――

「ザカリア様を殺しちゃ絶対ダメだよっ!」
「お母様! ザカリア様を殺さないで!」 

 ルチアノとロゼッテだった。
 困り顔の侍女たちが、二人の後ろをついてきて、私に謝った。

「ルチアノ様が突然、ザカリア様が殺されるって大騒ぎされて……」
「止められず、申し訳ありません」

 ロゼッテは泣きながら、デルフィーナに抱きついた。

「おねがい、お母様。死なないで……わたし、わたしっ……いい子にするから……」 
「ロゼッテ……」

 デルフィーナは泣きじゃくるロゼッテに戸惑っていた。
 死を覚悟して、ルドヴィク様の元から王宮へやってきたはずだ。
 その覚悟は、ロゼッテを前にして揺らいでいた。

「デルフィーナ。ロゼッテは力を失っている。もうお前には、俺を殺す理由はなくなった」
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