あなたの子ですが、内緒で育てます
 私が王妃に選ばれた日から、デルフィーナずっと王妃の座を狙っていたのだ。
 少しずつルドヴィク様に近寄り、私に気づかれないように。
 私から、なにもかも奪おうと決めて――

「ルドヴィク様! わたくしと子供をセレーネ様から、守ってください!」
「わかった。セレーネ、お前はしばらく離宮に行け」

 ルドヴィク様はあっさり私を捨てた。
 王宮にデルフィーナを残し、私を離宮へ行くよう命じたのだ。

「待って下さい。私は王妃です! 王妃を離宮へやるなど、前代未聞ではありませんか!」
「王の子になにかあっては困りますもの」

 私がデルフィーナに危害を加えるとでも、思われているのだろうか。

「セレーネがどうしても王宮に残りたいというのなら、わたくしの部屋から、一番遠い部屋にしてください」

 デルフィーナのお腹に子供がいる限り、私は心を読まれてしまう。
 そして、私の心を伝える――それも、偽って。
 でも、心を読める子供を身ごもっているなら、それは真実として、ルドヴィク様の耳に届く。
 ルドヴィク様だけではない。
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