私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
「うん」
私と清加さんが話し終わるのを少し遠くから見守っていることに気づいていた。
ホテルの柱の陰にいた知久を見る。
さっと知久は両手を広げた。
いつでも抱きついていいよ!というように。
私は笑顔で知久に言った。
「こうなるのがわかっていたわね?」
「あれ!? ここは感動の抱擁だったはず!」
「私に内緒にして、企んで。なにが感動の抱擁よ。毬衣さんはどうしたの?」
「毬衣さんとの婚約は解消されたよ。陣川が高窪と渋木のどちらをとるかってなると、やっぱり渋木だからね」
「高窪の家はなんて?」
私と知久が婚約するなんてわかったら、章江さんが怒鳴りこんで来てもおかしくないのに私のほうにはなにもなかった。
「それは小百里が気にすることじゃないよ。陣川と高窪の家同士の事情だし、俺の親と兄が話し合って渋木を優先させただけ」
「だけど」
「そうだな。詳しく聞きたいなら、部屋でどう?」
ホテルのルームキーを知久は見せてウインクした。
「またそれ!?」
「もうお預けはなしだよ」
知久は悪い顔をして笑った。
そして、私の肩に頭をのせた。
しばらく無言で動かずにいて、眠ってしまったのかと思うくらいだった。
「知久?」
私と清加さんが話し終わるのを少し遠くから見守っていることに気づいていた。
ホテルの柱の陰にいた知久を見る。
さっと知久は両手を広げた。
いつでも抱きついていいよ!というように。
私は笑顔で知久に言った。
「こうなるのがわかっていたわね?」
「あれ!? ここは感動の抱擁だったはず!」
「私に内緒にして、企んで。なにが感動の抱擁よ。毬衣さんはどうしたの?」
「毬衣さんとの婚約は解消されたよ。陣川が高窪と渋木のどちらをとるかってなると、やっぱり渋木だからね」
「高窪の家はなんて?」
私と知久が婚約するなんてわかったら、章江さんが怒鳴りこんで来てもおかしくないのに私のほうにはなにもなかった。
「それは小百里が気にすることじゃないよ。陣川と高窪の家同士の事情だし、俺の親と兄が話し合って渋木を優先させただけ」
「だけど」
「そうだな。詳しく聞きたいなら、部屋でどう?」
ホテルのルームキーを知久は見せてウインクした。
「またそれ!?」
「もうお預けはなしだよ」
知久は悪い顔をして笑った。
そして、私の肩に頭をのせた。
しばらく無言で動かずにいて、眠ってしまったのかと思うくらいだった。
「知久?」