私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
これ以上、周囲に害を及ぼす前に部屋に行ったほうがいいと判断した私は知久を引きずってエレベーターに乗った。

「積極的だなー」

「わかってるくせになにが積極的よ。週刊誌に載るのはごめんだわ」

「載っても構わない。渋木グループと陣川製薬のお嬢様とお坊っちゃまが政略結婚したって記事を書かれて世間はなるほどと納得する。それだけの話だよ」

「本当に悪人ね」

「褒め言葉だよね」

最上階に着き、エレベーターボタンに触れようとした時、知久は唇にキスを落とした。

「好きだよ、小百里」

「……私もよ」

やっと私は知久に自分の気持ちを伝えることができた。
ようやく、私は自分の気持ちを正直に言っても許されるようになったのだった。
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