私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
口の端からこぼれたワインを舐めとり、首筋に口づける。

「ま、まってっ……」

「小百里はワイン好きだよね」

悪魔のように笑って、耳元で囁いた。

「それとも俺のキス?」

「と、もひ……さ」

頭がくらくらとして、このままじゃ、なにも聞けなくなる。
体の熱とアルコールのせいか、のぼせてしまいそうになっていた。
ずっと与えられている刺激に耐えようと浴槽の縁を握っていると、その指を知久が解いた。

「指を痛めるよ」

「だっ……て……」

わざとなのか、私に見せつけるように指を一本ずつ舐めていく。
その顔は挑発的で、恐ろしいほどに色っぽい。
アルコールの味がまだ舌先に残っていた。
私が酔っているのはアルコール?
それとも、知久の触れる指や舌?
知久は私を煽って、自分にすがりつくのを待っている。

「んっ……」

お湯の中で胸をゆっくりと、すくいあげる。
零れたお湯の音と熱を帯びた私と知久の目が絡み合って、下腹部が甘く痺れた。
私も知久も会えなかった分のキスを何度も繰り返し、タガが外れたように―――泣きそうになりながら、キスをした。
息を乱してもやめてはくれない。

「小百里、もっとだよ」

「欲張りね……」

「何年分だと思ってるのかな?」

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