私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
「処分したって。だいたいくれるっていうのを断るわけにはいかない。逢生は人見知りで唯冬は生真面目だろ? 俺は二人のために社交性の高い男を演じているってわけだよ」

 本当ですかねという目で俺を見ている。
 なんて疑り深い奴だよ。
 俺の一途さはこの長いストーリーの中ですべて証明されたはずだよね?
 
「遅刻は厳禁ですよ」
「それは 逢生(あお)に言うべきだと思うけどなー」
「逢生さんはしっかりしてきていますから。 奏花(そよか)さんから寝坊せずに仕事に行くことができたなら、結婚するって返事をされたらしいので。今年の逢生さんは今までの逢生さんとは一味違いますよ」
「小学生の皆勤賞かな? ……今年も逢生は結婚できないか」
「やめてあげてください。頑張っているんですよ」

 どうりで最近、仕事場で眠っているはずだ。早め到着しておいて、そこで眠る作戦とはなかなか汚い。
 奏花ちゃんが逢生を教育している姿が目に浮かぶ。

「逢生も大変だな」
「小百里さんは優しいでしょう?」

 宰田は不思議そうに俺を見る。
 もちろん、俺は微笑んで頷いた。

「小百里は優しいよ(俺以外にはね)」

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