私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
一部を除いて、今まで言い寄ってきた女性の大半は一線を引くようになった。
「すごい効果だな」
銀色に輝く指輪を眺めた。
これは俺にとってお守りに等しいものだ。
だが、ピアノを傷つけないためにはずすこともある。
その時は仕方がないので首につける。
俺が愛妻家であることを週刊誌に書かれてからというもの、ようやく穏やかな日常が訪れて―――
「陣川さん。これ、私の連絡先です」
「あっ! ずるーい! 私のももらってください」
知久は笑顔を浮かべ、渡された名刺にキスをする。
「ありがとう。けど、連絡できないな。俺、もうすぐ結婚するんだ。ずっと好きだった相手とね」
その後もすごく美人でとか、自分だけには本心を見せるだとか、惚気ている。
ただ、それを言いたいためだけに連絡先を受け取っているフシがある。
自慢げに小百里のことを語る知久に女性奏者達は残念そうな顔をするが、俺の視線を感じたらしく、気まずそうにうつむいた。
知久の婚約者は俺の姉である小百里だ。
さすがに弟の前で未来の義兄?
知久が?
その事実を考えないようにしてきたが、現実になる日が来たか。
俺の苦労は生涯続きそうだ。
「唯冬。怖い顔をするなよ」
「地顔だ」
「知ってるけどさ」
「すごい効果だな」
銀色に輝く指輪を眺めた。
これは俺にとってお守りに等しいものだ。
だが、ピアノを傷つけないためにはずすこともある。
その時は仕方がないので首につける。
俺が愛妻家であることを週刊誌に書かれてからというもの、ようやく穏やかな日常が訪れて―――
「陣川さん。これ、私の連絡先です」
「あっ! ずるーい! 私のももらってください」
知久は笑顔を浮かべ、渡された名刺にキスをする。
「ありがとう。けど、連絡できないな。俺、もうすぐ結婚するんだ。ずっと好きだった相手とね」
その後もすごく美人でとか、自分だけには本心を見せるだとか、惚気ている。
ただ、それを言いたいためだけに連絡先を受け取っているフシがある。
自慢げに小百里のことを語る知久に女性奏者達は残念そうな顔をするが、俺の視線を感じたらしく、気まずそうにうつむいた。
知久の婚約者は俺の姉である小百里だ。
さすがに弟の前で未来の義兄?
知久が?
その事実を考えないようにしてきたが、現実になる日が来たか。
俺の苦労は生涯続きそうだ。
「唯冬。怖い顔をするなよ」
「地顔だ」
「知ってるけどさ」