私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
一瞬、知久と唯冬の顔が浮かんだけど、俺がチェロを弾けなかったら、きっと友達にはなっていなかったと思う。
けど、奏花は違う。
俺が弾けなくてもそばにいてくれた―――と思う。
梶井の存在に気付き、俺がチェロを選んだ選択肢は間違っていなかったなと確信した。
今ではあいつも結婚したらしいし、俺達を邪魔することはない。
駅に着き、ケーキの箱を抱え、夕暮れの町を歩く。
ほんのすこしだけ、風は涼しくなり、太陽の光は昼間ほど勢いがなくなっていた。
「ただいま」
マンションの部屋のドアを開けると、早く仕事が終わったのか、奏花がいた。
早く仕事が終わった日は奏花が手の込んだ料理を作ってくれるのだ。
キッチンから和風だしの香りがして、そっと覗き込むと奏花がご飯を作ってくれている。
「おかえり、逢生」
「これ、お土産」
誕生日のケーキは俺のサプライズだから、絶対に内緒だ。
余計なことを口にしないようにして、パンプキンプリンが入ったケーキの箱を差し出した。
「わぁー! パティスリーハラベのパンプキンプリン!」
奏花は目をキラキラさせて箱の中身を見ているのを俺は確認し、勝利を実感した。
「二個食べていいの?」
「いいよ」
努力が報われるとはこのことだ。
けど、奏花は違う。
俺が弾けなくてもそばにいてくれた―――と思う。
梶井の存在に気付き、俺がチェロを選んだ選択肢は間違っていなかったなと確信した。
今ではあいつも結婚したらしいし、俺達を邪魔することはない。
駅に着き、ケーキの箱を抱え、夕暮れの町を歩く。
ほんのすこしだけ、風は涼しくなり、太陽の光は昼間ほど勢いがなくなっていた。
「ただいま」
マンションの部屋のドアを開けると、早く仕事が終わったのか、奏花がいた。
早く仕事が終わった日は奏花が手の込んだ料理を作ってくれるのだ。
キッチンから和風だしの香りがして、そっと覗き込むと奏花がご飯を作ってくれている。
「おかえり、逢生」
「これ、お土産」
誕生日のケーキは俺のサプライズだから、絶対に内緒だ。
余計なことを口にしないようにして、パンプキンプリンが入ったケーキの箱を差し出した。
「わぁー! パティスリーハラベのパンプキンプリン!」
奏花は目をキラキラさせて箱の中身を見ているのを俺は確認し、勝利を実感した。
「二個食べていいの?」
「いいよ」
努力が報われるとはこのことだ。