私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】

8 渋木の伯母

唯冬(ゆいと)達が私を姉と認めたことが気に入らなかったのか、伯母が近づいて来た。

「愛人に作らせた子なんて紹介しなくていいでしょう」

伯母は目に見えて、私を嫌っていた。
さっきから、親戚達と私の悪口を言っていたのも知っている。
清加さんと同じお嬢様育ちのはずだけど、伯母の顔には深い皺が刻まれ、痩せていて神経質そうな印象を持つ。
父は伯母の無遠慮な物の言い方に不快な顔をしていたけど、伯母は気にしない。

章江(あきえ)姉さん。そんな言い方はしないでくれ。小百里(さゆり)が傷つく」

「なにを言ってるの。愛人の子が表に出て、目立つなんてあえりませんよ」

私の服装をチェックしているのがわかった。

「少し派手じゃないかしら」

章江さんの着ているものは黒のドレスにシルバーのネックレス、すべて控えめなデザインのものだった。
私には章江さんの着ている服が喪服のように見えた。

「この家では唯冬達が主ですからね。勘違いしないように」

「小百里もこの家の人間ですよ」

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