私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
「そ、そうよ」
私の言葉を聞いて、少し冷静になったようだった。
自分の婚約は簡単には揺らがない。
それは私の婚約も同じ。
けれど、私より知久や唯冬の婚約のほうが重い。
父は笙司さんの代わりを簡単に見つけてくるだろうけど、渋木と陣川の家が関わる婚約だけは簡単に解消できないのだから。
笙司さんとの婚約を拒否したところで、私にはまた新しい婚約者があてがわれるだけ。
その相手が、知久になることは絶対にない。
すでに父は陣川との関係を深めるため、長男の唯冬と知久の妹を婚約させている。
知久には渋木と親戚である高窪家の毬衣さんを。
「私と知久さんは簡単に別れられないんだからっ!」
必死になって、言う毬衣さんを穂風は険しい顔をして見ていた。
穂風の気持ちはわかる。
どうしても知久を手に入れたいと、毬衣が思うのは私への対抗心だった。
毬衣さんは昔から、私へのコンプレックスがある。
私に負けると母親の章江さんから、酷く叱られていた。
毬衣さんの成績はあまり良いとは言えず、習い事も私に抜かれて、そのうち来なくなってしまった。
髪が短いのも私と正反対の服装をするのも全部、比べられないため。
「この写真、返すわね。教えていただいてありがとう」
私の言葉を聞いて、少し冷静になったようだった。
自分の婚約は簡単には揺らがない。
それは私の婚約も同じ。
けれど、私より知久や唯冬の婚約のほうが重い。
父は笙司さんの代わりを簡単に見つけてくるだろうけど、渋木と陣川の家が関わる婚約だけは簡単に解消できないのだから。
笙司さんとの婚約を拒否したところで、私にはまた新しい婚約者があてがわれるだけ。
その相手が、知久になることは絶対にない。
すでに父は陣川との関係を深めるため、長男の唯冬と知久の妹を婚約させている。
知久には渋木と親戚である高窪家の毬衣さんを。
「私と知久さんは簡単に別れられないんだからっ!」
必死になって、言う毬衣さんを穂風は険しい顔をして見ていた。
穂風の気持ちはわかる。
どうしても知久を手に入れたいと、毬衣が思うのは私への対抗心だった。
毬衣さんは昔から、私へのコンプレックスがある。
私に負けると母親の章江さんから、酷く叱られていた。
毬衣さんの成績はあまり良いとは言えず、習い事も私に抜かれて、そのうち来なくなってしまった。
髪が短いのも私と正反対の服装をするのも全部、比べられないため。
「この写真、返すわね。教えていただいてありがとう」