私達には婚約者がいる【菱水シリーズ④】
14 従姉妹 (2)
毬衣さんの婚約は高窪の家が陣川の家に申し込んで、実現したことだと聞いている。
「好きじゃなくても、家同士で決めた婚約を小百里から断ることはできないわよ。それは、小百里だけじゃない。知久さんだって同じよ!」
「どうして知久さんの名前がでてくるのかしら?」
いつもなら、ここで悔しそうな顔をして、私の前を去っていくのに今日の毬衣さんは違っていた。
私の長い髪に手を伸ばし、ぐっと掴んだ。
「ちょっと! 毬衣!」
穂風が驚き、その手を離させようとしたけれど、毬衣さんの指はきつく握ったままだった。
「毬衣! 小百里の髪から手を離しなさい!」
鋭い穂風の声に手の力が緩んだ。
「腹の中では私のことを馬鹿にしているんでしょ。知久さんに相手にされなくて可哀想な女だって!」
憎しみを込めた目を私に向けた。
「知ってる? 知久は昔から、小百里ばかりを見ていたこと」
その問いに答えずにいると、毬衣さんはさらに大きな声で、私に怒鳴った。
「昔から、私のことを馬鹿にしていることを知ってるんだから!」
感情的になっている毬衣さんの手に触れた。
そっと手で制して、静かな声音で話す。
もちろん、笑顔で。
「毬衣さん。家同士で決めた婚約は断れないのでしょう?」
「好きじゃなくても、家同士で決めた婚約を小百里から断ることはできないわよ。それは、小百里だけじゃない。知久さんだって同じよ!」
「どうして知久さんの名前がでてくるのかしら?」
いつもなら、ここで悔しそうな顔をして、私の前を去っていくのに今日の毬衣さんは違っていた。
私の長い髪に手を伸ばし、ぐっと掴んだ。
「ちょっと! 毬衣!」
穂風が驚き、その手を離させようとしたけれど、毬衣さんの指はきつく握ったままだった。
「毬衣! 小百里の髪から手を離しなさい!」
鋭い穂風の声に手の力が緩んだ。
「腹の中では私のことを馬鹿にしているんでしょ。知久さんに相手にされなくて可哀想な女だって!」
憎しみを込めた目を私に向けた。
「知ってる? 知久は昔から、小百里ばかりを見ていたこと」
その問いに答えずにいると、毬衣さんはさらに大きな声で、私に怒鳴った。
「昔から、私のことを馬鹿にしていることを知ってるんだから!」
感情的になっている毬衣さんの手に触れた。
そっと手で制して、静かな声音で話す。
もちろん、笑顔で。
「毬衣さん。家同士で決めた婚約は断れないのでしょう?」