第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
夜更け、宮殿は祝勝の宴で賑わっていた。

私は酔いも手伝って、ふらふらと廊下を歩いていた。

「……トイレ……どこだっけ。」

足元がおぼつかず、壁に手をつきながら歩くと、ふと一室から漏れる灯りが目に入った。

(誰の部屋……?)

ふとした好奇心で、そっと扉の隙間に目をやる。

その瞬間、目に飛び込んできたのは――

自らの手でドレスのリボンをほどく、カトリーナ妃の姿だった。

「カトリーナ、聞いてくれ……!」

部屋の奥から、聞き覚えのある声――アシュレイの声が響く。

「聞くも何も、あなたは私の夫でしょう?」

カトリーナは微笑みながら、静かにドレスを滑らせた。

その滑らかな肩が、白く、妖しく露わになる。

「この身を捧げて……何が悪いの?」

その声には、甘さと痛みが入り混じっていた。

「だから、カトリーナ。俺は……」

アシュレイの声が、かすかに震えていた。
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