第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している

第6部 妃の怒り

それから、二週間が経った頃だった。

廊下を歩いていると、耳に刺さるような声が聞こえてきた。

「見て、リリアーナ嬢よ。」

「毎晩、アシュレイ殿下のお部屋に通っているらしいわ。」

「えっ、そんな……妃様がいらっしゃるのに?」

私は立ち止まることなく歩き続けた。けれど、足取りが自然と重くなる。

どれも事実で、否定できる言葉は見つからない。

(……やっぱり、気づかれていたんだ)

夜ごとに交わす熱い囁きも、扉を閉じたはずの吐息も、すべて──宮中には筒抜けだったのだ。

ふと、後ろから小走りの足音が聞こえた。

振り返ると、若い使用人が慌てて頭を下げた。

「お気になさらないでください、リリアーナ様。」

「え……」私は目を見張る。

「私たち、わかっております。殿下が、どれほどあなたを大切にしておられるか。見ていれば伝わります。」

「…………ありがとう。」
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