第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
その言葉に、胸がちくりと痛んだ。

(ああ……この人は、冷たい人なんかじゃない。)

誰にも寄りかかれない孤独を、ひとりで抱えている――

その姿が、なぜかとても、愛おしく思えた。

そしてまた奥へと去っていく彼の背中を、私は黙って見つめていた。

その姿が小さくなっても、緑の瞳の輝きは、まぶたの裏に残っている。

「……綺麗な瞳だっただろ。」

隣で兄が、ふと声をかけてきた。

「うん。まるで……エメラルドみたいだった。」

「あまりの美しさに、“ヴィレンの秘宝”って呼ばれてるんだ。」

あの金色の髪に、中性的な整った顔立ち。そして宝石のような緑の瞳。

確かに、見惚れるのも無理はない。

「何でも……お母上が、それまた美しい方だったらしい。」

「そうなの!?」

「王の側妃だったそうだ。王妃ではないが……王が心から愛した女性だったとか。」
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