第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
「……なんでそんなに詳しいの?」

思わず問い返すと、兄は少しだけ口元をゆがめた。

「騎士団長ともなれば、いろいろと耳に入るさ。」

そう言う彼の表情の奥に、何か言葉にできないものがあった。

それが何なのか――今の私には、まだ分からなかった。

数日後、私も騎士団の鍛錬に参加した。

「やっ! はっ!」

「やあああ!」

気合いの声が飛び交う中、私の相手をしてくれたのは、年の近いルークだった。

「妹さん、リリアーナでしたっけ。筋がいいですね」

軽快に剣を受けながら言うルークの声に、私は少し頬を緩めた。

「騎士の家系なもんで、幼い頃から好きなんですよ。」

と、兄にベテランのギルバートさんが話しかけるのが聞こえた。

その時だった。

鍛錬場の空気がぴりりと引き締まり、皆が一斉に頭を下げた。

「……ああ、続けて。」

その声――振り返ると、いつの間にかアシュレイ殿下が立っていた。
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