第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
そのまま、彼女はアシュレイにすがりつくようにして近づき、腕を絡めた。

しかし次の瞬間、アシュレイは彼女の両肩をしっかりと掴んだ。

「……やめろ、カトリーナ。」

「やめない。だって、あなたは私の夫なのよ。私を抱けないはずなんてない!」

「違う。心を通わせた相手がいる。――リリアーナが。」

「そんなの関係ない……!」

涙混じりに叫ぶと、カトリーナ妃はアシュレイをベッドに押し倒そうとした。

けれど、その手を強く振り払われた。

「……やめてくれ。これ以上、自分を貶めるな。」

アシュレイの声は、怒りでも拒絶でもなく、哀しみだった。

「俺はもう、君を抱けない。」

静かなその一言が、まるで刃のようにカトリーナ妃の胸を貫いた。

彼女は崩れるように床に座り込む。

ナイトウエアが肩から滑り落ちたまま、震える唇で呟く。

「どうして……私じゃ、だめなの……?」
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