第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
部屋に戻ると、そこには兄がいた。

「お兄ちゃん……」

兄は私の顔を見るなり、すぐに椅子を引いてくれた。

「顔色が悪い。座れ。」

私は黙って椅子に腰を下ろす。

兄はその隣に静かに腰掛け、しばらく私の横顔を見つめていた。

「……今、噂になっている。アシュレイ殿下が離婚を申し出たって。」

やっぱり、兄の耳にも届いていたのね。

あっという間に、王宮中を駆け巡ったのだろう。

「もちろん、おまえが迫ったとは思っていない。」

兄の声は穏やかだけれど、どこかに憂いを含んでいた。

「……ええ。私は、何も。」

アシュレイが、勝手に決めてしまった。

私には、何の相談もなく。

あの夜の笑顔の裏で、そんな決断をしていたなんて。

「どうして……どうして言ってくれなかったの、アシュレイ……」

声には出さなかったけれど、胸の内は混乱していた。
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