第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
「落ち着け、リリアーナ。」

兄の腕がそっと私を包み込む。そのぬくもりに、ようやく張り詰めていた心が少しだけほどけた。

「……もし、アシュレイ殿下が相談してきたとして、おまえはどう答えた?」

「もちろん、反対したわ。」

私は即答した。

「だって、離婚なんて……私のせいでそんなことになってほしくなかったもの。」

「――だから、相談しなかったんだろう。」

「……えっ?」

思わず顔を上げると、兄の瞳が真っ直ぐに私を見つめていた。

「アシュレイ殿下は、ずっとおまえの話を聞いてきた。趣味は何か、好きな花は?昔どんな子どもだったか――細かいことまで、何度も。」

「そんな……」

「おまえの気持ちを誰よりも尊重しようとしてた。けれど……だからこそ、言えなかったんだろうな。おまえが拒むのが分かっていたから。」

私は息を呑む。

< 74 / 103 >

この作品をシェア

pagetop