第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している
彼女の言葉に、私は息をのんだ。

カトリーナ妃の瞳の奥には、計り知れない思惑が揺れている。

まるで何かを仕掛けようとしているかのように。

「もし私が、あなたに勝つ方法があったとしたら——」

その続きは、少し間を置いてから紡がれた。

「早々に……子供を産んでおくことだったわ。」

低く、悔しさと哀しさが滲んだ声だった。

私は目を瞬いた。カトリーナ妃が、そう言うなんて。

「……情事はお好きではないと、以前お聞きしました。」

私がそう返すと、彼女は小さく笑った。

「ああ……そうね。」

そのままくるりと背を向け、窓の外に視線をやる。

遠くの空を見つめるように、虚ろな目で。

「それでもね。子供を作るのが、正妃の役割だったわ。それくらい、わかっていたはずなのに……あなたの存在を知ってから、ようやく気づいたの。」

彼女の声は風に流れそうなくらいにか細く、痛ましかった。

その肩はほんの少しだけ震えていて、怒りというよりも、深い喪失に近いものが滲んでいた。
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