【こちらはマンガシナリオです】正しい愛し方教えてよ

突然の…

○大学、外
前を歩く結菜に気づく新谷。
新谷「福本ー!」
駆け寄る。
並んで歩く。
新谷「だいぶ寒くなってきたなぁ」
結菜「だねー。秋って一瞬だよね」
新谷「それな」
結菜「人恋しい季節がくるわー」
新谷「福本は恋愛求めてねーじゃん。そういや、中峰だっけ?ミスター春並、笹原のこと好きなんだってさ」
結菜「知ってるよ」
新谷「え!?そうなん!?」
結菜「もちろん美琴は知らないけどね。私は中峰くん応援してる」
新谷「なるほどなぁ」
(周りまで固めてるとはアイツすげぇな)
結菜「新谷も好きなんでしょ?美琴のこと」
新谷「へっ?…バレてたかぁ。あんなイケメンがライバルとか勝ち目あんのかな」
結菜「勝ち目もなにも、今まで戦うことすらしなかったくせに」
新谷「え…」
結菜「何年も近くにいたのに、彼氏がいるからってずっと何もしなかったのは誰?」
結菜がズバッと言う。
新谷(…その通りだ。友達、ダブルスのパートナー…都合のいいポジションで、ずっとあぐらをかいていたんだ。別れてやっとアピール始めて、ライバルが現れて焦って、ほんとダセェな俺)
「俺が頑張るって言ったら、応援してくれる?」
結菜「もちろん。私や萌の願いは、美琴が幸せな恋愛をすることだから。その相手が新谷なのか、中峰くんなのかわかんないけど、美琴を幸せにしたい気持ちがあるなら誰だって応援するよ」
新谷「…ありがと」


数日後。
○大学、外、夕方
体育館近くを歩く新谷。入り口付近にいる美琴を見つける。
新谷「よっ!何してんの?」
美琴「なんか無性にストレス発散したくなって、運動しようと思ったけど着替え持ってきてないわと思って」
新谷「あーなるほどな。…よっし、じゃあ違うことでストレス発散しようぜ」

○ゲームセンター
「何から攻める?」
やる気十分な2人の雰囲気。様々なゲームを楽しむ2人のシーン。
UFOキャッチャーの前で真剣に操作する新谷。
新谷(試合に勝つとハイタッチや称え合うハグをした。そこに下心なんて1ミリもなくて、純粋に勝利を分かち合った)
景品が取れる。
新谷「よっしゃー!」
美琴「新谷すごい!」
はしゃいでハイタッチする。
新谷(なのに、今こんなにドキドキしてる。あぁ、やっぱり好きだな)
「やる」
ぬいぐるみを差し出す。
美琴「ありがとう!」
新谷(どうすれば、その笑顔を一人占めできんだろ)
少し切ない顔。


次の日。
○大学
新谷が歩いてる。偶然前から修が歩いてくる。
新谷「!」
お互い気づき目が合う。
ぺこ、と修が軽く会釈する。そのまま通り過ぎる。
新谷「あのさっ…」
向き合うかたち。
修「なんすか?」
新谷(うぅ、やっぱこいつカッコいいな。いや、もう弱気になってる場合じゃねぇ)
新谷、手に力を入れる、握りこぶし。
新谷の顔アップめ
新谷「俺は笹原が好きだ。お前が好きになるずっとずっと前から。だから…正々堂々戦う。…じゃ」
去って行く新谷を無言で見る修。


12月
○大学、昼間
門に向かう美琴
美琴(今日はバイトないし、帰る前に本屋寄ろうかな)
ヴーヴー
着信のバイブ。修の名前が表示されている。
美琴(え、電話!?)
「…もしもし」
修「さっき歩いてんの見えたんだけど、まだ大学内?」
美琴「うん、ギリギリ出てない」
修「おっけー。門で待っといて」
プツッ…。
美琴(ほんと勝手なんだから…)

門で待つ美琴。
ミスコン「あのー」
ミスコンが声をかけてくる。
美琴「?」
(あ、ミスコンの…)
ミスコン「中峰くんと仲良いんですか?」
美琴「えっ…」
(仲良い?いやいやいや)
「別に仲良くは…ないかな」
ミスコン「そうなんですね!なら良かったです」
ニコッと笑顔。
ミスコン「すみません、いきなり話しかけて。じゃあ、失礼します」
去って行く。
美琴(なんだったの…)

修が来る。
修「お待たせー」
美琴(あの子、こいつのこと好きなんだよね)
顔をじっと見てる。
修「なに?」
美琴「別に。というか、なんか用?」
修「そっけな!一緒に帰ろ」
美琴「私、本屋行くから無理」
修「一緒に行けばいいだろー」
美琴「…好きにして」半分呆れてる。

○本屋
美琴(あ、新作出てる)
置かれている小説を見る。
修「その作者いいよな」
美琴「え、知ってんの!?」
修「何冊か読んだことある」
美琴「良いよね、この人の話」笑顔
(小説とか読むの意外だな)

本屋を出だ後、歩く2人。
よしくん「みーちゃん?」声だけ。
美琴「?」
振り返るとスーツ姿のよしくんがいる。
美琴(よしくん…!?)
「びっくりしたぁ。…久しぶり」
よしくん「うん、久しぶり…」
美琴(髪切ってる。…まだそのネクタイ使ってるんだ)
「面接帰り?」
よしくん「あ、うん。すぐに結果分かって…受かったよ」
美琴「え、おめでとう!」
よしくん「ありがとう。…みーちゃん、あの時は本当にごめん。俺、なかなか内定もらえなくて…頑張るみーちゃんのそばにいるのがしんどくなっちゃったんだ。大丈夫だよって、すごく応援してくれたけど、応援よりももっと俺に寄り添ってほしくて…」
美琴(確かに私、頑張れって、大丈夫だよって言うばっかりで、静かに寄り添ったり見守ったりしなかった。そっか、ヨシくんが求めていた言葉や行動は違ったんだ。あの子はそれをしてくれたんだね)
修「お前どんだけ自分勝手なんだよ」
美琴(!!)
急に入り込んできた修に驚く美琴。
修「応援してくれる存在がいるのが当たり前だと思ってんの?頑張ってるやつがそばにいたら、自分ももっと頑張ろうって思えるじゃん。実力発揮できなかったのを人のせいにすんなよ。つーか、寄り添えって?あの時こいつがっ…」
美琴「もういいよっ。もう大丈夫だから…」
よしくんを見る。
美琴「元気でいてね、じゃあ」
よしくん「あ…」
美琴去る。
修「…お前、クソかっこわりーな」
冷めた感じで言い残し、修も去る。
ポツンと取り残されるよしくん。

○人のいない公園
修「俺、言い過ぎた?」
美琴「ううん。…試験受けたこと彼に言ってなかったの。多分、どっかで自信なかったのかも。彼に頑張れって言いながら、自分自身に言ってたんだろうね。だから伝わらなかったのかなぁ…」
(人の愛し方は、教科書に載っていないし、先生も教えてくれない。自分で試行錯誤しながら学んでいく。よしくんに弱さを見せられなかった私は、上手に愛せていなかったのかもしれない。4年も一緒にいて、何してたんだろ…)
修「美琴…」
美琴「ん?」
ちゅ
突然キス。美琴目開けたまま。
美琴(!?)
修「あいつのせいで落ち込むぐらいなら、俺のことだけ考えとけよ」
美琴(…え?…先生、質問です。このキスは、何ですか?)
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