あなたがいてくれるから

男子会

☪ ‎


「─へぇ、凛空って、葵咲のことが好きなんだ?」

「ブッ」

「わぉ、図星だ」

「ゲホゲホゲホッ」

突然、杜希に突っ込まれ、飲み物を盛大に噎せた凛空を横目に、平然と話を続ける杜希。

「誉、おじさんとおばさんに挨拶させないの?誉のお眼鏡には叶ったんでしょ」

「うん、でも、まだ早いかなって」

「早いとかある?良いじゃん。外堀埋めれば」

「いや、俺としては可愛い妹の意思を尊重したいわけで……」

「その気持ちに嘘はないだろうけど、面白いと思ってるでしょ。凛空が弟になるの」

「それはそう」

未だに咳き込む彼には悪いと思いつつも、相変わらず、性格の悪さが盛大だな〜!なんて感想も。

「ま、待て、待て。お前ら……」

「え?」

「人の恋路を面白がるな……っ」

「ごめん、無理。めっちゃ楽し〜!」

すっごく楽しそうな杜希は、今日は完全にオフモード。

前髪はかきあげて、薄めのワイシャツから透けて見える刺青。

これでもかと空いた耳には、大量のピアス。
そして、レンズ小さめのサングラスに、楽しそうに目の端拭う幼なじみ。

「誉っ」

「はい」

「あいつは誰だ!」

「君の中では、昨日までは常識人だったであろう杜希くんです。言ったでしょ、性格悪いって」

ニコッ、と、誉が言えば、静かに首を横に振る凛空。

「実際に見ないと、お前信じないだろ〜。あ、温厚なのは間違いないぞ。ただちょっと、裏の人間なだけで」

「それは、ヤがつくという?」

「そう。あ、怖い?」

「それは全然ないが!イメージがな?」

「優等生だからね。学校では」

「なんでだよ」

「生きやすいから」

凛空の質問に、平然と答える杜希。

「それ以上も以下もないよ。生きやすいし、こうして見ても、ただのはっちゃけた馬鹿でしょ。俺」

「はっちゃけ……?」

「あ、態度は変えなくていいからね。これまで通り、優等生と思ってもらえれば。ただちょっと、暴れるの気持ちよくて好きな高校生だし」

「……」

「杜希、杜希、凛空がついてきてない」

「あっれ〜?」

炭酸をストローで飲み干しながら、笑う杜希。
その舌では、光るピアス。

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