あなたがいてくれるから
「誉。天宮(アマミヤ)くんに絡まないの」
「え、隣同士なのに!?しかも、寮は同室だぞ」
「寮はともかく、席は誉が勝手に選んだんでしょ。誉に選ばれたら、先生も采配できないよ」
「え〜」
「とりあえず、彼に迷惑をかけないこと。天宮くん、騒がしいと思うけど、よろしくね」
(勘弁して欲しい)
「……気持ちは分かる」
前の席の大人しい方に頷かれた。
こいつらの関係は知らないが、こいつは普段からやかましいのだろう。
「誉、良い子にして」
「え、お前、俺をペットだと思ってる?」
「わんちゃんみたいな自由奔放さを見せびらかしておいて、違うとは言えないでしょ。とりあえず、天宮くんにダル絡みしないの」
「もししたら、葵咲(キサ)に言うから」
「2人揃って、最強の脅し……」
……本当、一体なんなんだ。
ただでさえ来る確率の低い教室。
やけにクラス中からの視線も鬱陶しいし、暫く、教室に来るのをやめようかな、とか思いながら、身体を伸ばし、凛空はため息をこぼし、ふて寝した。