彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)
もやもやした気持ちを抱えたまま迎えた期末テスト最終日。
いつもより30分早く登校し、下駄箱をのぞけば、ちゃんと上履きが入っていた。
(自分の上履きが下駄箱に入ってるのって、いつまで続くのだろう・・・・・?)
初めのころは、下駄箱に上履きがなくて、悔しく泣きそうになったけど、毎日続けられたことにより、『菅原凛』の心は悔し泣きの感情が壊れた。
自分でもびっくりするぐらい、理不尽に扱われることに慣れてしまっていて、いつからか、ゴミ箱に入れられて汚れた自分の上履きを拭くための除菌シートを持ち歩くようになっていた。
最悪の環境の変化に対応するという行動をとるようになってしまった。
(ヤバいな・・・麻痺してたんだな、私・・・。)
そんな思いで、上履きに履き替えて教室へ向かう。
静かに1年B組の教室に入るが、
「やっと今日でテスト最後~!」
「打ち上げしようぜ、打ち上げ!」
「ホテルのビュッフェ、予約したぞ♪」
「え!?そこ、若手シェフで話題のホテルじゃん!?」
「めっちゃ映えそう~♪」
誰も何もしてこない。
期末テスト初日に、髪を引き抜かれて以来、危害は加えられていない。
ディフェンスで、嫌がらせを仕掛けてくるかと警戒したが、そんなそぶりも見られない。
いたって平和。
無視されてはいるが、こうガキされないだけマシ。
だからといって、空気扱いされて平気なわけじゃない。
ただ、その状況に慣れてしまっただけ。
そう考えているうちに教師が教室に入ってくる。
前から回された答案用紙を手に取り後ろに回す。
受け取る時、前の席の人に小声で悪口を言われるが言われない。
後ろの席の人に渡す時、汚い、と言われるが言われない。
(平和が、長続きすればいいな・・・。)
そう願った後で、テスト問題に取り掛かるのだった。