この結婚はビジネスのはずでしたが、御曹司が本気で愛してきます
口に出した瞬間、涙が出そうになった。

でも泣きたくなかった。

私は、泣いてる余裕なんてないって、いつも自分に言い聞かせているから。

フォークを持つ手が震えて、ふと動きが止まる。

「でも……生きていかなきゃいけないんです。」

私は、ハンバーグを見つめたまま言った。

まるで、自分に言い聞かせるように。

それは希望なんかじゃなくて、ただの義務のような言葉だった。

「死ぬなんて馬鹿げてるよ。」

彼が、そう呟いた。

その言い方があまりにも普通で、普通すぎて、私は彼の顔を見た。

彼は、相変わらずハンバーグをぱくぱくと食べている。

心配そうな顔も、慰めの言葉も、同情の視線もない。

「馬鹿げていても、真剣な人だっているんです。」

そう言った自分の声が、少し震えていた。

必死に堪えてるのが、バレたくなくて。
< 12 / 32 >

この作品をシェア

pagetop