この結婚はビジネスのはずでしたが、御曹司が本気で愛してきます
なのに彼は、また一口ハンバーグを口に運んでから、あっさりと言った。

「たった五百万の借金で?」

え……と、言葉が詰まる。

「どうせ死ぬなら、一億くらい借金してからにしなよ。」

一瞬、言葉の意味がわからなかった。

私が死にたかったのは、そういうことじゃないのに。

カチン、ときた。

「あなたは……借金がないから、そんなこと言えるだけでしょ。」

怒りとも悲しみともつかない感情が、喉の奥に詰まった。

だけど彼は、平然とした顔で言った。

「借金ならあるよ。会社を起こすときに、銀行から一千万借りた。」

「……え?」

私は思わず彼の顔を見た。

「社長さん……?」

「うん。一応ね。」

彼はさらっと答えたあと、グラスの水を口に運んだ。

「でも、絶対返すつもりで借りた。借金ってのは、返す前提で背負うもんだろ?」
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