この結婚はビジネスのはずでしたが、御曹司が本気で愛してきます
翌日、私は地図を頼りに、朝比奈 奏の会社を訪れた。

ビルのエントランスを抜け、案内された先は最上階。

受付の人たちの対応も丁寧で、ここが“本物”の会社だとすぐにわかった。

案内された社長室は、整然と整理されていて無駄がない。

壁にはアートと賞状、デスクの上には高そうなノートパソコンと数冊の資料。

そこに立つ彼は、昨日の軽口を叩く男じゃなくて――

一人の「社長」だった。

「よく来てくれたね。」

奏は笑顔でそう言いながら、私をソファに促す。

その笑みの裏に、少しだけ緊張のようなものが見えた気がした。

「今日、君に来てもらったのは、このためだ。」

そう言って、彼は一枚の書類を差し出してきた。

表紙には、シンプルに**“契約書”**と書かれている。
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