この結婚はビジネスのはずでしたが、御曹司が本気で愛してきます
母の治療も、もう「あと何日持つだろう」なんて数えなくて済むかもしれない。

でも、そこまでして……どうして私なの?

なぜ、数ある選択肢の中で私を“契約の妻”に?

心がざわつく。

「……考えさせてください。」

私は、一歩引いた。

息を整えながら言葉を選んだつもりだったけど、声は少しだけ震えていた。

「いいよ。ただし――三日後に返事をくれるか?」

「……三日?」

思わず聞き返してしまった。

たった三日――

自分の人生を賭ける“結婚”の決断にしては、あまりにも短すぎる。

「たったの……ですか?」

「長くは待てないんだ。事情がある。」

奏の声は冷静だったけれど、その奥には何か切羽詰まったような気配があった。

彼にとっても、時間がないのだということは伝わってくる。
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