この結婚はビジネスのはずでしたが、御曹司が本気で愛してきます
私は、こくりと頷くしかなかった。

恥ずかしくて、目を逸らした。

でも、奏は驚いたように目を見開いたあと、そっと笑った。

「……そっか。」

その笑顔は、昨日見たどんな笑みよりも、やさしかった。

「なるべく、優しく抱く。」

その言葉に、私は……何もかもを預けようと思った。

怖いけれど、この人になら――そう思えた。

ベッドに横たわると、奏は静かにシャツを脱いだ。

その動きは迷いなく、それでいてどこか緊張しているようにも見えた。

「痛かったら、言って。」

そう言いながら、私の服をひとつひとつ、丁寧に外していく。

自分の肌が露になるのが恥ずかしくて、目をそらそうとした瞬間、彼がそっとキスを落とした。

胸に、肩に、頬に。

まるで確かめるように、何度も。

やがて、彼の体が私に重なる。

「……っ」

小さく声が漏れた。
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