全部、俺のものになるまで
秘書デビュー初日、私の体力はあっさり限界を迎えた。

定時の18時、ようやくオフィスの喧騒が落ち着く頃。

私はデスクにもたれかかり、息をつく。

「すまん……咲となら、やっていけそうな気がしたんだが。」

苦笑まじりに言う彼に、私はつい吹き出した。

「ははは……無理です、絶対。」

でも、その言葉に冷たさなんて一つもない。

むしろこの時間が、たまらなく愛しい。

戦場みたいな毎日の中で、こうしてふたりきりになれる、たった数分の静けさが──

「お疲れさま、咲。」

そう言って、彼が私に顔を寄せてくる。

「……んっ」

私たちは、静かに、自然に、唇を重ねた。

どんなに忙しくても。

どんなに怒鳴られても。

このキスがあるから、また明日も頑張れる。

私は、確かにこの人を愛している。
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